住環境による健康被害を防ぐAI

生活の大部分を支える「住宅」が及ぼす健康被害は深刻なもので、住宅コード違反に基づく種々の健康被害は米国においても大きな問題となっている。化学物質、傾斜、換気不良、異常室温、土壌・水質汚染など、基準を満たさない劣悪な住環境が多様な疾患の引き金となる。米ハーバード大学ケネディスクールの研究チームは、健康被害のリスクがある住宅を特定する機械学習モデルを開発している。

Public Health Management & Practiceからこのほど公表されたチームの研究論文によると、この研究はボストン近郊となるマサチューセッツ州チェルシーで行われた。このエリアは住民背景が多様で、人口密度が高く、低所得であることが特徴となる。1,611の検査済み物件データを利用し、「住宅コード違反」および「健康被害の可能性」を識別する機械学習モデルを構築した。生成したモデルを市内全ての住宅に適用したところ、54%に住宅コード違反を認め、そのうち85%は高度の健康被害リスクを含むことを明らかにしている。

著者らは「都市データと機械学習技術により、追加検査リソースを必要とせず、住環境に伴う健康被害リスクを推定することができる」としており、住宅法の施行をより効果的かつ効率的とすることを通し、公衆衛生上の懸念を払拭できる可能性がある点を強調する。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。