医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例COVID-19スクリーニングのアームバンド - 米FDAが緊急使用許可

COVID-19スクリーニングのアームバンド – 米FDAが緊急使用許可

COVID-19感染者に起きやすい「血液の凝固機能異常と炎症反応」を反映したバイオマーカーの検出によって、発熱のない無症候患者をスクリーニングする技術が期待されている。米FDAは機械学習ベースのアームバンド型COVID-19スクリーニング装置「Tiger Tech COVID Plus Monitor」に対し、同タイプの機器として初めて緊急使用許可(EUA: emergency use authorization)を発行した。

FDAのニュースリリースによると、同デバイスは光センサー内蔵のアームバンドで、脈波など生体信号を捉えるフォトブレスチモグラフィー(PPG)と解析用プロセッサを内蔵する。デバイスが上腕に巻き付けられると3~5分かけて特徴的な信号を抽出し、機械学習モデルによってCOVID-19患者の凝固機能異常と炎症反応に由来するバイオマーカーを検出する。検温の実施環境下で無症候性COVID-19患者をスクリーニングする目的として同デバイスは承認されており、診断目的の検査を代替するものではない。異常なしは緑ランプ、凝固機能異常などが示唆される特定の状態で赤ランプが点灯する。

Tiger Tech COVID Plus MonitorはCOVID-19陽性患者69名を含む467名の無症候者に対して病院環境で検証され、陽性一致率(PPA)98.6%・陰性一致率(NPA)94.5%を示した。学校環境での検証でも同等の検証結果が得られ、今回の緊急使用許可に至ったという。FDAのディレクターであるJeff Shuren氏は「FDAはCOVID-19のパンデミックと戦うため、革新的なスクリーニングツールを継続的にサポートします。新しいデバイスは医療施設・学校・職場・テーマパーク・スタジアム・空港といった公共の場における蔓延抑制の助けとなるでしょう」と述べている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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