先週、Amazonは独自の遠隔医療サービス「Amazon Care」の展開を明らかにした。昨年末頃より同事業に関連するトピックが市場を巡り、遠隔医療事業におけるライバル企業の株価が大きく下落したことは記憶に新しい。今回の発表直後からも、米最大手プロバイダーにあたるTeladoc Healthの株価は4%を超える下落をみた。
Amazonが先週明らかにしたところによると、Amazon Careはバーチャルケアと対面ケアを複合した医療サービスで、専用アプリを介した医師・看護師への相談のほか、必要時には医療従事者を個別に派遣する「往診」にも対応する。本年夏からのサービス提供を開始するとしており、当初はバーチャルケアの全米50州での展開を進める。対面ケアはワシントンDCなど主要都市に限定し、その後順次、提供エリアを拡張していくとのこと。
Frost & Sullivanによる直近の報告では、遠隔医療利用の堅調な拡大が明らかにされており、欧州における市場規模は2026年までに4.5倍以上、207億ドルに到達することが示されている。これはCOVID-19パンデミックを契機とするもので、市場の成長傾向は世界的にも変わらない。Amazonが見据える巨大市場は現在、多数の先行者が乱立しているが、ITの巨人は今まさにその勢力図を大きく書き換えようとしている。