Amazon Careの激震

先週、Amazonは独自の遠隔医療サービス「Amazon Care」の展開を明らかにした。昨年末頃より同事業に関連するトピックが市場を巡り、遠隔医療事業におけるライバル企業の株価が大きく下落したことは記憶に新しい。今回の発表直後からも、米最大手プロバイダーにあたるTeladoc Healthの株価は4%を超える下落をみた。

Amazonが先週明らかにしたところによると、Amazon Careはバーチャルケアと対面ケアを複合した医療サービスで、専用アプリを介した医師・看護師への相談のほか、必要時には医療従事者を個別に派遣する「往診」にも対応する。本年夏からのサービス提供を開始するとしており、当初はバーチャルケアの全米50州での展開を進める。対面ケアはワシントンDCなど主要都市に限定し、その後順次、提供エリアを拡張していくとのこと。

Frost & Sullivanによる直近の報告では、遠隔医療利用の堅調な拡大が明らかにされており、欧州における市場規模は2026年までに4.5倍以上、207億ドルに到達することが示されている。これはCOVID-19パンデミックを契機とするもので、市場の成長傾向は世界的にも変わらない。Amazonが見据える巨大市場は現在、多数の先行者が乱立しているが、ITの巨人は今まさにその勢力図を大きく書き換えようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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