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骨髄異形成症候群の診断にAIの目を

骨髄異形成症候群(MDS: Myelodysplastic syndrome)は、血液のがんとして骨髄機能の異常から造血に障害を来し、前白血病状態で知られる疾患群である。MDS疑い患者の骨髄を採取し塗抹標本から診断へと進むが、その形態異常の確認とグループ分類には検査を行う者の主観が影響するため、深層学習モデルの助けが期待されている分野のひとつである。

フィンランドのヘルシンキ大学では、患者の骨髄サンプルに対し、ルーチンのHE染色のもとで顕微鏡画像を解析する深層学習モデルが構築された。同大のリリースでは、米国癌学会(AACR)の学術誌 Blood Cancer Discoveryに発表された論文が紹介されている。その結果、MDSにおいて骨髄サンプルの形態観察から各種の遺伝子異常を識別する精度として、TET2遺伝子異常のAUCで0.94、スプライシング関連遺伝子変異で0.89、7番染色体モノソミーで0.89、などが達成された。

同研究では、深層学習モデルが「骨髄サンプル内で人間の目には識別が困難な特徴」を見出しており、骨髄細胞と周辺組織に及ぼす影響について新たな知見が得られている。研究グループのSatu Mustjok教授は「今回の研究成果は、MDS患者の骨髄細胞変化や予後との関連性を定量化するデータ収集にも役立つでしょう」と述べている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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