医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例メイヨークリニックとNASAの協調 - 臨床データから因果関係を明らかにするAIプラットフォーム

メイヨークリニックとNASAの協調 – 臨床データから因果関係を明らかにするAIプラットフォーム

メイヨークリニックの研究チームは、複雑な生物医学データに組み込まれた因果関係を明らかにするAIプラットフォームを開発した。Nicholas Chia博士らの研究チームは、米航空宇宙局(NASA)フロンティア開発ラボのデータサイエンティストや機械学習エンジニアと共同し、このCRISPと呼ばれる新しいフレームワークの検証を行っている。

メイヨークリニックが24日明らかにしたところによると、CRISPは「利用可能な全てのオミックス情報および臨床データを活用することにより、疾患の隠れた原因を明らかにし、疾患予防および治療に向けた新しいターゲットとメカニズムを特定できる」としている。CRISPは、眼前にあるデータを任意に組み合わせ、無数の再現可能な因果推論実験を行うことができる。フレームワークは個々のアルゴリズムにデータを掘り下げ、点と点をつなぎ、原因と結果を説明できるようになる。最終的な出力モデルは各アルゴリズムからの説明を組み合わせることで、臨床医に一連の予測される因果的特徴を提供するという。

研究チームはNASAとの協力により、大腸がんコホートを用いたCRISPの検証によって、大腸がんサブタイプの特定とCRISPの因果推論モデルが機能することを実証したとしている。両者はCRISPをさらに高精度化・高機能化することを目指す。Chia博士は「NASAは次の10年で宇宙飛行士を火星に連れていきたいと考えている。彼らは疾患の原因を深く理解するインセンティブを持っており、私たちは彼らと協力することによって知識の進歩をみている」と語る。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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