ソーシャルメディアにおいて、COVID-19に対する反科学的な見解は政治的イデオロギーと密接に関係していることが指摘されている(過去記事)。南カリフォルニア大学(USC)のグループによって、Twitterからの機械学習による解析で「反科学的な意見と保守的政治イデオロギーの密接な関係を明らかにし、特定地域での反科学的感情の高まりを特定する」研究成果が発表されている。
USCのニュースリリースでは、オープンアクセスの学術誌 Journal of Medical Internet Researchに掲載された同研究を紹介している。研究チームは、リベラル派と保守派、親科学派と反科学派、強硬派と穏健派という、3組の対立するグループ分類で、2020年1月〜4月の米国内のtweetをもとにCOVID-19と公衆衛生に関する意見を解析した。その結果、反科学+保守では「陰謀論など政治的トピックス」に注目しており、親科学+保守では「世界的アウトブレイクと発症者のカーブを平らにする予防策」に重点を置いていた。また、後にCOVID-19の致命的な急増に見舞われることになる山西部と南部の州では、アウトブレイク前から既に反科学的意見の高まりがみられていた。
研究チームによると、研究成果から最も勇気づけられた結果として「親科学+穏健というユーザーの数が、反科学のユーザー数を圧倒的に凌駕している」点を挙げている。また、「調査結果は政策立案者や公衆衛生担当者にとっても有益であり、国内の特定地域で反科学的感情の高まりを検知できれば、不信感を和らげるためのメッセージを送り、その地域での病気の発生に備えることができる」と著者らは主張している。集団免疫の達成という目標の実現には、ソーシャルメディアの動向を追跡する手法がこれからも有効性を示していくだろう。
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