「REASSURED診断」と呼ばれる低・中所得国における深層学習利用の新たなパラダイムが提唱されている。REASSUREDは、以下の頭文字を目標とする。
「Real-time connectivity(リアルタイム接続)」
「Ease of specimen collection(検体採取の容易さ)」
「Affordable(手頃な価格)」
「Sensitive(高感度)」
「Specific(高特異度)」
「User-friendly(ユーザーフレンドリー)」
「Rapid(迅速)」
「Equipment-free(機器不要)」
「Deliverable(配送可)」
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のニュースリリースによると、同大学のグループは南アフリカ農村部において「HIV迅速検査の画像をタブレット端末を用い、ディープラーニング手法で分類する」フィールドワークを行っている。学術誌 Nature Medicineに掲載された研究成果は、モバイル機器のカメラとセンサー、エッヂでの処理能力、データ共有の可能性を、HIVの検査結果読み取りAIアプリで検証している。種々の条件下で行われたHIV迅速検査11,000枚以上の画像から機械学習アルゴリズムが構築され、陰性・陽性に分類する精度を訓練を受けた医療スタッフが目視で解釈した場合と比較した。その結果、目視の精度92.1%に対して、モバイルアプリでは精度98.9%と優れたパフォーマンスを発揮した。さらにアプリは高いレベルの感度(97.8%)と特異度(100%)も両立する。
「現実世界」のHIV迅速検査で、深層学習による高精度な画像分類に成功した研究成果は、低・中所得国においてモバイルヘルスツールがもたらすポジティブな可能性を示している。著者のValérian Turbé氏は「現地で一緒に過ごした経験から、人々が基本的な医療サービスを受けることがいかに難しいかを目の当たりにした」と語り、ツールが役立つ将来を期待する。デジタルヘルス研究が主流になるにつれ、その恩恵に影響する所得格差への懸念も生じてきた。REASSURED診断というパラダイムで、世界で最も助けを必要とする地域に新技術の有用性と利益をもたらす取り組みが続く。
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