新生児死亡の50%以上が早産児で発生しているとされ、世界的にも早産率の上昇傾向が問題視されている。早産児への新生児集中治療室(NICU)でのケアに際し「死亡リスク」を評価することは、専門医による治療選択など臨床的意思決定の助けとなる。従来の複雑な死亡リスク算出システムよりも現場負担の少ない「AIによる死亡リスクスコア算出」に関する研究が、オーストラリア・ジェームズクック大学のグループで行われている。
ジェームズクック大学のニュースリリースでは、同大の研究グループが開発した「NAIMS: Neonatal Artificial Intelligence Mortality Score」と呼ばれる、AIによる新生児死亡リスク評価スコアを紹介している。研究成果はComputers in Biology and Medicine誌に発表された。NAIMSは、出生時体重・妊娠期間・性別・心拍数・呼吸数などというシンプルな情報で直近12時間のデータから3 / 7 / 14日以内の死亡リスクを評価する。スコアの性能は「3日以内の死亡リスク」で最高となったが、ここではAUROC 0.9336を達成し、従来のリスク評価手法よりも優れた性能を示しているという。
研究の筆頭著者であるStephanie Baker氏は「容易に記録できるデータのみを用いることで、医療スタッフに不当な負担をかけずにリスクが評価できる。シンプルかつ高性能で非侵襲的なNAIMSの算出システムが自動的な再計算を続けることで、児の治療に対する反応を経時的に分析できる」と述べている。
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