精神疾患の長期予後を個別に予測することは、最適な治療方針策定に貢献する。オランダ・ユトレヒト大学などの研究チームは、3年および6年のフォローアップに伴う「長期予後」を予測する機械学習モデルを構築した。
npj Schizophreniaから2日公開されたチームの研究論文によると、523人の精神疾患患者における広範なベースラインデータを利用し、3年および6年経過時点でのアウトカムを予測する機械学習モデルをトレーニングした。アウトカムは、症候については寛解中または寛解なしの2段階、全体評価についてはGAF尺度を利用し、転帰良好(GAF≥65)または不良(GAF<65)の2段階としてそれぞれ評価した。予測精度は症候に対して62.2-64.7%、全体評価に対して63.5-67.6%を示しており、leave-one-out交差検証はモデルの堅牢性を示唆していた。また、モデル構築にあたり重要な予測因子として導かれたものには、精神疾患症状や生活の質、抗精神病薬の使用、心理社会的ニーズなどが含まれていた。
研究成果は、精神疾患の長期予後予測において機械学習モデルが有効となる可能性を明らかにしており、医師の臨床的意思決定を支援する有用なツールの導出が期待できる。我が国における精神疾患患者数も増加の一途をみており、年間400万人以上が医療の助けを必要とするなど、メンタルヘルスを巡る現状は楽観視することができない状況が続いている。
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