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ニューヨーク大学 – 在宅脳刺激による精神神経疾患の遠隔治療プログラム

ニューヨーク大学ランゴーン医療センターは、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)による在宅治療プログラムを開始した。対象となるのはうつ病や多発性硬化症といった精神神経疾患群で、領域の疾患特性やCOVID-19の感染拡大によって、そもそも外出することが難しい患者などに大きな助けとなることが期待されている。

同センターによるプレスリリースによると、提供される遠隔tDCSは現在、米国全州において利用可能としている。tDCSは極めて微弱な直流電流によって脳内の特定部位を刺激し、効果発現を期待するもの。患者らは専用のヘッドセットを装着した状態で、医療者の指示に従った種々のセッションをこなす。患者ごとにパーソナライズされたケアプランには、座位でのエクササイズや認知トレーニングゲームなど、種々のアクティビティが含まれている。現在は保険対象外で、機器レンタル代を含め、1セッションあたり30ドルの費用がかかる。

ニューヨーク大学ランゴーン医療センターでは、治療抵抗性うつ病におけるtDCS効果を検証する臨床試験にも参加する(研究プロトコル)。また最近では、米ラッシュ大学医療センターが自宅での脳深部刺激療法(DBS)を可能とするプラットフォームを立ち上げるなど、精神神経疾患患者に対する在宅治療アプローチの拡充が急速化している。

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