語彙パターンによるアルツハイマー病スクリーニング

アルツハイマー病は認知機能低下における主要な原因で、高齢化の進展に伴う患者数の増加は深刻な医学的課題となっている。アルツハイマー病の進行抑制のためには早期検出が欠かせないが、有効なスクリーニング手段は限られており、安価で手軽な日常的ツールが求められてきた。米ミシガン州立大学の研究チームは、会話における語彙パターンからアルツハイマー病の初期兆候を捉えるAIアルゴリズムを開発している。

ミシガン州立大学発表によると、共同研究先であるオレゴン健康科学大学が収集した臨床試験データを活用し、アルゴリズムを導いたという。研究計画は米国立衛生研究所(NIH)から390万ドルの助成金を受けている。各患者に対して実施された数時間に及ぶインタビュー記録に基づき、回答内容をテキスト化した上で、語彙パターンを解析することで認知機能を評価するAIアルゴリズムを構築した。このスクリーニングAIの識別精度がMRIと変わらない程度に高度であることは、Scientific Reports誌から研究論文として既に報告されている。

研究チームは今後、短時間インタビューでも必要な情報が収集できるよう、質問と質問方法の改善を狙うとともに、語彙パターン単独ではなく音響信号と表情分析を加えた「統合的なインタビュー分析AI」の確立を目指している。アプリとして社会実装することで、効果的な早期アルツハイマー病スクリーニングを実現し得る同研究計画への期待は大きい。

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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。