AIによる緑内障の高感度スクリーニング

緑内障は視力低下や失明の主要な原因疾患であり、社会の高齢化に伴い、世界での有病者は2020年の7600万人から2040年には1億1180万人まで増加するとの推計もある。網膜画像を手作業でチェックする検査プロセスは、時間がかかるとともに専門家の主観的評価に依存するため、AI手法に対する期待が大きい領域でもある。

シンガポールの南洋理工大学(NTU: Nanyang Technological University)では、AIによる緑内障スクリーニングの新しい手法を開発している。学術誌 Methodsに発表された同AI手法では、「ステレオ眼底カメラ(複数の角度の2次元画像を組み合わせることで3次元画像を構成する検査機器)」をアルゴリズムで解析する。その結果、緑内障罹患の検出において精度97%、および感度95%を達成した。精度の安定性を維持しながら、特に感度については従来の深層学習ベースの手法で最高レベルであった89%を上回ったと、研究グループは成果を強調する。

今後、研究グループはソフトウェアを携帯電話のアプリケーションとして移植することを検討しているという。スマホ用のレンズアダプターと組み合わせることで、より身近で実用的なスクリーニングツールとなることが期待される。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。