オピオイド使用障害リスクの個別予測

オピオイド系鎮痛薬を使用する患者の一部は、使用を自身でコントロールできなくなり、日常生活の困難や過剰摂取、時として死亡に至る。慢性疼痛にオピオイドを処方された患者の8〜12%でオピオイド使用障害(OUD: opioid use disorder)を来すとの報告もあり、OUD高リスク患者の予測と早期介入による予防が望まれている。カナダ・アルバータ大学の研究チームは、機械学習による「患者個別のOUDリスク予測」に取り組んでいる。

The Canadian Journal of Psychiatryに掲載された同研究では、カナダ・アルバータ州で2014年から2018年にオピオイドが処方された約70万人の患者データを解析した。受診回数、診断名、属性情報など62の変数から構築した機械学習モデルを、2019年の患者データで検証したところ、精度86%でOUD高リスク患者を予測できたとする。またOUDリスク要因の上位には、オピオイドの使用頻度、高用量使用、アルコールやその他薬物など物質関連障害の既往、が挙がり、先行研究との一致を認めている。

筆頭著者のYang Liu氏は「『誰がOUDを発症しやすいか』という予測は、レッテルを貼る目的ではなく、あくまでリスクとして解釈されることが重要だ。この情報は、実際に診断する臨床医の手元にあるべきだ」と述べ、臨床医の包括的判断の材料として活用されることを期待する。

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