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シンプルで実用性の高い「オピオイドリスク予測モデル」

米国では外科手術患者の90%以上が術後にオピオイド(麻薬性鎮痛薬)を処方されており、このうち9~13%は使用経験が無い患者となる。オピオイドは手術後の鎮痛に望ましい効果を発揮する一方、その使用には様々なリスクを内包し、一部は社会問題となっている。

ミシガン大学の研究チームは、オピオイドの過剰使用に伴う中毒や医療リスクを捉え、医療者が適切な投与量を決定することを支援する予測モデルを構築した。Surgeryからこのほど公開されたチームの研究論文によるとこのモデルは、216の予測因子からなる完全モデル、10の予測因子からなる制限モデル、5つの予測因子からなる最小モデルの3種で構成されている。これら3つのモデルは、いずれも既存モデルよりも「オピオイド継続使用」の予測に優れていたことが示されている。

研究者らは「実世界で有用なモデルとするためには、臨床で活用できる程度に単純でなければならない」ことを指摘し、「10変数モデルが、精度を犠牲にしない最もシンプルなモデル」であることを強調している。COVID-19パンデミック下において、日常生活環境の変化がもたらす精神的影響に伴い、オピオイドリスクはさらに深刻化していることも指摘されており、このようなリスク予測モデルを用いた管理方針の策定には、ハイリスクアプローチによる健康増進の観点からも期待が大きい。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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