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教育・健康データに基づくADHD児予測モデル

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は小児期によく見られる疾患であるが、疾患として認識されず未治療に終わることが多い。医療サービスへのアクセスを改善するには、効果的な資源配分のため、ADHDリスクの高い児童集団を正確に予測することが必要となる。

英King’s College Londonの研究チームは、教育データに健康データを紐付け、AIアプローチによってADHDリスクをどの程度予測できるかを検討した。研究成果はBMJ Openからこのほど公開されている。民族や言語の差異は、前処理アルゴリズムを用いて重み付けを行った上で、ADHD予測のための4つの機械学習モデル、および1つのニューラルネットワークを構築した。結果、AUCは0.86を示し、ADHDスクリーニングへの有用性を示唆する結果を得ている。

著者らは「教育データに健康データをリンクさせることで、正確かつ低コストでスケーラブルなADHD予測モデルを提供できる」とし、ハイリスク集団の同定と早期介入を教育現場から実現し得る点を明らかにしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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