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AI技術による「オリジナルタンパク質」の生成

研究者らは、「ゼロから人工酵素を生成」することができるAIシステムを構築した。実験室における検証では、人工的に生成したアミノ酸配列が既知の天然タンパク質と大きく乖離していても、これらの酵素の一部は自然界に存在するものと同等に機能したとしている。

Salesforce Researchが開発した「ProGen」と呼ばれるAIプログラムは、自然言語処理を応用した「新たなたんぱく質設計技術」を提唱している。ネクストトークン予測によりアミノ酸配列を人工タンパク質に組み立てる同技術は、元来同社の研究者が英語テキストを生成するために開発した自然言語処理モデルをベースとする。研究者らは、2億8千万種類のあらゆるタンパク質のアミノ酸配列をモデルに送り込み、2週間に渡って情報を消化させた後、5つのリゾチームファミリーにおける56,000の配列と、これらのタンパク質に関する情報を入力し、モデルの微調整を行った。

チームは「この新しい技術は、ノーベル賞を受賞したタンパク質設計技術である指向性進化法よりも強力となる可能性があり、治療薬からプラスチック分解に至るまで、ほとんどあらゆる用途に向けたタンパク質開発を実現し、50年の歴史を持つタンパク質工学の分野にさらなる活気を与えるだろう」と述べている

参照論文:

Large language models generate functional protein sequences across diverse families

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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