米メイヨークリニックの研究チームは、電子カルテデータに機械学習手法を適用し、メトホルミン治療の失敗リスクが高い2型糖尿病患者をピンポイントで特定できることを明らかにした。研究成果は、The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに掲載されている。
メトホルミンはビグアナイド系薬剤に分類される経口糖尿病薬で、薬価の低さと費用対効果の面から、欧米の糖尿病治療ガイドラインにおける第一選択薬に推奨されているもの。一方で、血糖コントロールに絶対的に有効とは必ずしも言えず、実際、その治療失敗率は35%にも上るとの推計もある。研究では、ミシシッピ大学医療センター、アリゾナ州のマウンテンパーク・ヘルスセンター、ロチェスター疫学プロジェクト(REP)の患者集団を対象としている。REPはミネソタ州の医療記録連携システムで、過去50年間に渡る地域カルテデータを研究向けに連携させている。
研究者らはメトホルミン治療失敗を予測する高精度な機械学習モデルを導いたが、その過程で長期的な血糖コントロールの指標であるヘモグロビンA1c値を含む特定の健康指標が、そのリスクと関連することを発見している。また、高齢やカリウム値の高さ、トリグリセリド、心拍数の高さも治療失敗の予測因子となっていた。一方、良好な結果を示す要因には、利用した医療の「量とタイミング」が挙げられた。
著者らは「メトホルミンは2型糖尿病の治療薬として最も広く処方されている薬の1つであり、この研究は、医療従事者がより集中的な治療やより緊密なモニタリングを必要とする患者を特定するための手段を提供するものだ」と述べ、知見に基づく個別化医療の実践を促している。
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