カナダ・オンタリオ州に所在するウォータールー大学の研究チームは、家庭内環境における歩行やその他の身体活動を非接触によってモニタリングするため、ミリ波レーダーと深層学習を活用したクラウドベースシステムを開発した。研究成果はIEEE Internet of Things Journalから公開されている。
ミリ波レーダーは、1mmから10mmの波長と30GHzから300GHzの周波数を持つ電磁波で、光に近い性質と強力な直進性を特徴とする。レーダーやイメージング、通信、電波天文などでの活用が進んでいる。研究チームはこのミリ波レーダーに基づき、実際の家庭内活動のデータセットから生成したレンジドップラーマップを用いて、複数の深層学習モデルの学習を行った。被験者の家庭内身体活動を分類するゲート付きリカレントニューラルネットワーク(GRU)は、総合精度86%を達成し、本システムが様々な活動や歩行時間を認識・区別するだけでなく、被験者の経時的な活動レベル、洗面所の使用頻度、睡眠/安静/活動/外出の時間、現在のステータス、歩行パラメータなどもそれぞれ有効に記録できることを明らかにしている。
このシステムは、極めて低消費電力のレーダー技術を採用しているため、天井や壁に簡単に取り付けることができ、ウェアラブルモニタリングデバイスのような不快感や頻繁なバッテリー充電が不要となる。また、カメラデバイスなど強いプライバシーの懸念を生むものではないため、転倒リスクの高い高齢者などに対して、24時間365日のモニタリングと医療者への緊急アラートを実現できる可能性が期待されている。
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