運動失調症における言語障害では、不明瞭な発音や不規則な発話リズムなどがみられ、臨床的に診断される一方でその重症度を客観的に評価する方法は限られている。独ボン大学病院の研究者らは、コンピュータ支援による正確かつ迅速な評価手法の開発に取り組む。
npj Digital Medicineに掲載された本研究では、運動失調症の既存評価尺度「SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)」に関連して、言語障害に特化した重症度分類を自動化・客観化する音声解析AIソフトウェア「SARAspeech」の評価を行っている。患者67人において、標準化された質問(趣味についての話、1から10まで声に出して数えるなど)への回答音声から、発話リズムや声の大きさの変化など100以上の特徴を抽出した。結果、アルゴリズムによる言語障害重症度の分類は、80%の症例で専門家による評価とほぼ一致していることを示した。
著者でボン大学のThomas Klockgether教授は「運動失調症関連研究は、治療効果が期待される新しい薬剤の試験が進むなど、現在勢いのある分野だ。疾患の評価を自動化・客観化する本研究の手法は、人を対象とした臨床試験でも効率的に使用することができ、価値が高い」と語っている。
参照論文:
SARAspeech—Feasibility of automated assessment of ataxic speech disturbance
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