研究者らによると、NFT(非代替性トークン)とブロックチェーン技術を使用した「安全な医療データ交換プラットフォーム」を構築することにより、患者が自身の健康情報に適切なオーナーシップを持ち、医学研究や臨床ケアを目的としたデータの利活用を強化することができるとしている。
COVID-19の流行を契機として、医療にも急速なDX化の波が押し寄せた。遠隔医療や遠隔モニタリング、医療IoT(IoMT)、ロボティクス、AIなどを活用したデジタルヘルスソリューションの導入が加速している。Nature Medicineに掲載された論文によると、これらは健康データの生成を加速度的に進めているとし、患者が自身の健康データに適切なオーナーシップを保つための「プライバシー保護ソリューション」の必要性が高まることを指摘する。チームはデータ管理のためのソリューションとして、NFTの利用を検討している。
NFTは、ブロックチェーン上に保存されたユニークなデジタルデータユニットで、単一の所有権の下にあり、取引可能なものとなる。現在、商用NFTとして取引されているデジタル資産と同様に、健康データもブロックチェーン技術を用いて生成、交換、保存することができ、一意性、透明性、相互運用性といった同じ特徴を備えることになる。つまり、患者は自分自身の個人的な健康データを所有し、同じブロックチェーン技術を使って医療提供者など複数のステークホルダーと「デジタル資産として」交換できるようになる。
患者が医療従事者と健康データを共有する必要がある場合、医療従事者に必要な情報へのアクセス権を与え、閲覧を許可することができる。これにより、患者のプライバシーが守られ、データの所有者である患者自身だけが、自分の個人的な健康データへのアクセスや共有を許可することがようになる。研究チームは、完全な所有権を患者に与えることで、患者のヘルスリテラシーを高め、積極的に健康情報を活用した研究や試験に参加できるようになるなど、長期的にはより良い医療結果をもたらす可能性が高いことを強調している。
参照論文:
Non-fungible tokens for the management of health data
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