医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究医療画像処理AI開発における「29の潜在的バイアス」

医療画像処理AI開発における「29の潜在的バイアス」

AI/機械学習モデルの医療への活用が進むが、現実的には全ての集団に適切に機能する一般化されたモデルの開発は難しい。米国で医用画像へのAI活用に取り組む公的機関「MIDRC(Medical Imaging and Data Resource Center)」の研究チームは、医療画像処理AIの開発で発生し得るバイアスを軽減する戦略を報告している。

Journal of Medical Imagingに報告された同研究では、医療画像処理AI開発を、5つの主要ステップ(データ収集、データ準備とアノテーション、モデル開発、モデル評価、モデル展開)に分類し、そのプロセスの中で発生し得る29の潜在的なバイアス発生源を特定した。例えば、データ収集のプロセスでは、単一の病院や単一のスキャナー機器から画像を調達することがバイアスにつながると説明している。

モデルに含まれる偏り(バイアス)を無視・過小評価することには、患者への不平等や医療格差を悪化させる懸念がある。MIDRCでは本研究のようなバイアスを特定・軽減する戦略について議論を続けており、同機関のウェブサイト上でも情報を公開している。

参照論文:

Toward fairness in artificial intelligence for medical image analysis: identification and mitigation of potential biases in the roadmap from data collection to model deployment

関連記事:

  1. メイヨークリニック – AIモデルのバイアス評価プラットフォーム
  2. 英政府 – 「医療AIのバイアス解消」に向けた新しい取り組みを公表
  3. 画像解析AIが内包する過小診断バイアス
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事