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ディープラーニングツールによる放射線治療計画の改善

米メイヨークリニックとGoogle Healthの研究チームは、頭頸部がん患者の放射線治療計画の改善にディープラーニングツールが有効であることを、このほど公開した研究論文で明らかにしている。研究成果はFrontiers in Oncologyに掲載された。

放射線照射部位を正確に定めることは、治療効果を最大化するとともに、周辺臓器・組織の被曝に伴う障害を最小化するために重要となる。研究チームはディープラーニングベースのオートセグメンテーションモデルを使用し、精度を損うことなく短時間で輪郭情報を描出可能であることを示している。445のCT画像からトレーニングされた3D U-Net DLモデルでは、放射線腫瘍医によるレビューによって、既存のゴールドスタンダードと比較しても、モデルによるセグメンテーションが同等の精度を示しながら、プロセス全体を76%短縮するなど大幅な必要時間の削減が可能であることを明らかにした。

チームでは現在、モデルが実環境で有効に機能するかを評価するための前向き試験を計画しており、臨床実装を見据えた研究開発を進める意向だ。

参照論文:

Validation of clinical acceptability of deep-learning-based automated segmentation of organs-at-risk for head-and-neck radiotherapy treatment planning

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