医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点放射線科医と医学生は自らAIを開発することを望む

放射線科医と医学生は自らAIを開発することを望む

放射線科領域におけるAI導入は、臨床現場において興奮とためらいのいずれもを促している。米メリーランド大学の研究チームは、放射線科医・放射線科研修医・医学生のそれぞれにおいて「放射線科AIに対する態度」を明らかにするための系統的文献レビューを行った。

Academic Radiologyから29日公開されたチームの研究論文では、放射線科AIに対する意識を評価した19件の先行研究を分析している。結果、医学生と放射線科医は同様にAIの教育的効果を支持していた。また特に、AIソリューションについて学び、自ら実装することにも関心を示していた。さらに、放射線科領域におけるAIの役割については、放射線科医と放射線科研修医は医学生よりも楽観的にみる一方、医学生間には意見の乖離が認められた。

2010年代から始まった深層学習技術の高度発展に伴い、放射線科領域は医療AIの初期進出地点となり、今後も臨床フローへの多大な影響が見込まれている。全体として放射線科医はAIによる代替を受ける立場ではなく、AIを効果的に利用する、またはAIを構築・管理する専門家へとシフトすることを望んでいることがみて取れる。また、「次代の医師はAIを避けて通ることはできない」との共通認識を反映し、医学生は自身のキャリアプランにAIの存在をどう反映させるかも主要な悩みとなっている。

関連記事:

  1. RSNA 2021 – 放射線科におけるAI導入の現状と課題
  2. AIの存在は「医学生が放射線科医を志す」ことを妨げる
  3. 米国放射線科医の約30%がAIを使用 – 2020年ACR調査
  4. Treatment社 – 医学生の診断能力をAIで改善
  5. 米マウントサイナイ医大 – AIヘルス学部を新たに創設
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事