JAMA Network Openに掲載された、米ミネソタ大学の新たな研究によると、院内での病状増悪を予測する機械学習モデル「Deterioration Index(DTI)」が、緩やかに患者転帰を予測する一方で、患者属性によってその性能が変動する事実を指摘し、さらなる検証が必要であるとしている。
院内での増悪は人工呼吸器への接続やICUへの移動、院内死亡などを指すが、病院における回避可能な死亡の約15%が臨床的兆候を見逃したことに起因するという。この問題に対処するため、増悪を予測するツールとして2017年に開発されたのがDTIで、現在、全米数百の医療機関がこのモデルを利用する一方、系統的な外部検証の不足が指摘されていた。本研究では、中西部8つの医療機関で500万件を超えるDTI予測を行っている。特にサブグループ解析において、アメリカンインディアンまたはアラスカネイティブであると自認する患者では、バイアス指標は14%悪化したこと、民族を明らかにしなかった患者では19%悪化したことなど、患者背景によって性能が不安定になる事実を明らかにしている。
著者らは「DTIが患者の悪化を予見することはそれなりに可能である」と結論付けた一方、バイアスに対応するため、さらなる対策を求めるとともに、モデルのトレーニングデータの透明性を担保し、追加検証を行うことを主張している。
参照論文:
Validation of a Proprietary Deterioration Index Model and Performance in Hospitalized Adults
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