医療ITソフトへの支出が加速する米国医療機関

このほど公開された「Bain and KLAS 2023 Healthcare Provider IT Report」によると、米国の医療機関はITとソフトウェア技術への投資を加速させており、医療機関幹部の80%が「過去1年間でこれらの支出が大幅に増加した」と報告している。

同レポートでは、こうした投資の主な要因は、財政的な圧力と労働力不足、新興テクノロジーにあるとする。この調査は、米国の医療機関幹部201人を対象にアンケートを実施したもので、そのうちの75%が、今後12ヶ月間、AIを含むソフトウェアとテクノロジーへの支出が引き続き増加すると回答している。また、回答者の56%が、ソフトウェアとテクノロジーはトップ3の優先事項だとしており、2022年段階での34%から有意な増加がみられる。投資額は医療機関の種別によって異なるが、大規模な医療機関や大学医療センターは、小規模な医療機関よりもソフトウェアやテクノロジーへの投資額が増加すると予測する。

投資分野のトップは、引き続き「臨床ワークフローの最適化と収益サイクル管理」であった。これらは、短期的な投資対効果が明確であると認識されているためで、医療機関全体の利幅が縮小し、財政的な課題が続くなか、医療システムはこの種のソリューションに対する優先順位を上げ続けている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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