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AIカルテスタートアップ – エラー対応に人間を使う

AIを活用した医療書記ツールを提供するDeepScribe社は、200人の人員を投入し、診察記録を聞き取り、AIのエラーを修正するプロセスを踏んでいるという。

DeepScribeの医療書記プラットフォームは、現在1,000人を超える医師や医療提供者によって利用されており、診察中における患者との会話を記録し、書き起こし、医師のメモとして記録することができる。2017年の創業以来、ベンチャーキャピタルから3730万ドルの資金を調達しており、本年の売上は650万ドルに達する。一方、用いられるアルゴリズムはしばしばエラーを起こすことが知られ、薬剤の記載ミスや支離滅裂で無意味な文章の追加など、患者に関する誤った情報を提供しているという。

The Wall Street Journalの報道によると各ノートは、不正確な投薬情報や誤ったICD-10コード生成などのエラーに対処するため、人間の請負業者によってレビューされているという。レビュアーはICD-10のトレーニングは最低限しか受けておらず、報告書のコードを確認するのは医師や医療スタッフに頼っている事実を指摘する。人間の作業員がノートを確認することで、AI単独に比べて精度は15ポイント上昇して95%となったが、医療記録には患者の機微情報が含まれるため、これには一定の倫理的問題も含まれている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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