米大規模医療システムがAI導入に踏み切る時

The Health Management Academyが明らかにした最新の調査結果によると、米大規模医療システムの全数が「既にAIソリューションを使用している」(47.5%)または「AIソリューションを評価あるいは検討している」(52.5%)とし、全数が医療AIの取り込みに向かっていることを指摘する。

このほど公開された調査報告では、複数の地域にまたがる学術医療センターなど、米国における40の主要医療システムの戦略的意思決定者に対する聞き取り調査の結果を明らかにしている。AI導入に関する興味深い知見として、AI投資の典型的な順序として1. バックオフィス、2. 臨床関連雑務、3. 臨床ケア、となっており、医療機関におけるAI導入は「コスト削減」に直結するものから選ばれる事実を示している。バックオフィスでは、収益サイクルや人事、サプライチェーン管理へのAI導入が目立っていた。

意思決定者らは、実際のケーススタディや投資利益率(ROI)を重視して技術を評価しているほか、電子カルテシステムとの相互運用性、プライバシーとセキュリティ、中長期での効果予測、に関心を持っているという。実際の導入を見据えた製品設計のためには、これらの各要素に適切に対応することも重要となる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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