米国において、規制当局による承認済みAI医療機器は急激に増加し、これに伴って臨床現場におけるツールの採用も広がりつつある。
米国大規模医療システムがどのような姿勢を持つかについては、先行研究が参考となる。シカゴ大学などの研究チームがJournal of General Internal Medicineに昨年公開した研究論文によると、大規模医療システムの60%超がAIツールを担当する専門チーム、または専門家個人を有してAIツールの導入・運用・評価にあたっているとする。また今月4日、npj Digital Medicineから公開されたコメンタリー論文によると、調査対象ヘルスケアプロバイダーの半数以上が何らかのAIソリューションを運用し、さらに30%が「今後2年以内に導入予定」とした。
AIツールによるリスク予測領域で特に重要視されているものには入院・再入院リスク予測と敗血症リスク予測が挙げられるが、あるベンダーが提供する「EHRに基づく敗血症予測システム」がアルゴリズムに重大な問題を抱えていること、またこれが厳密な評価を受けることなく多くの医療システムで展開されていることを指摘する論文も公表され、話題を呼んだ。医療AIが実環境で有効に活用されるための道は平坦ではないが、種々の議論が徐々にその土壌を踏み固めていることは間違いない。
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