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シンガポールの主要病院が「大腸内視鏡AI」を臨床導入

シンガポールの三次急性期病院であるFarrer Park Hospital(FPH)は14日、大腸病変の検出と分類を行うAIスクリーニングツールの臨床導入を明らかにした。これは、大腸内視鏡検査の施行時にリアルタイムで病変を捉え、医師に警告することができるというもの。

FPHが明らかにしたところによると、このツールは本年3月から4月にかけて試験導入を行い、360件以上の大腸内視鏡検査に適用して臨床的有効性を確認した上で、5月に正式導入を決定したという。大腸がんはシンガポールにおける主要な死亡原因であり、毎年1,800人程度が新規に罹患する。FPHは「より正確な病変の検出を可能とするため、AIスクリーニングの導入を決めた」と説明する。同院の消化器科医であるDesmond Wai氏は「この技術は、ポリープを明確に強調することで見逃しリスクを低減することに役立つ」と述べた上で、内視鏡の検査精度を向上させるものであることを強調している。

近年、FPHは医療サービスの向上を目的として、種々のAIツール導入を進めている。昨年9月には認知症診断を強化するため、AIを活用したMRIスクリーニングシステムを導入し、話題を呼んだ。また11月には、メドトロニックとの提携により、心血管疾患のAIスクリーニングサービスも開始している。

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