医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究大腸内視鏡AI導入は年間370億円を削減する

大腸内視鏡AI導入は年間370億円を削減する

大腸内視鏡検査におけるAIの活用は、前がんポリープの検出率を高め、長期的な大腸がん予防に貢献する可能性がある。一方、スクリーニング目的の大腸内視鏡検査におけるAIツールの導入が「大腸がん発症率および死亡率に及ぼす低減効果」,またその「費用対効果」は明らかにされていなかった。

The Lancet Digital Healthからこのほど公開された研究論文では、米国の50-100歳、10万人の仮想コホートに対してマルコフモデルマイクロシミュレーションを実施し、内視鏡による大腸がん検診にAIを用いた場合と用いない場合での効果を比較している。結果、AIツールを利用しない通常検査では大腸がん罹患率の相対減少が44.2%であるのに対し、AIツールを利用することで48.9%の減少と、4.7%の有意な改善が確認された。同様に、大腸がん死亡率では3.6%の改善効果をみていた。AIツールの導入によって、年間7,194例の大腸がん症例、および2,089例の関連死を追加的に予防しており、年間あたり2.9億ドル(日本円にして370億円超)の医療費が節約される試算となる。

研究者らは「大腸内視鏡検査におけるAIツールの導入は、大腸がん罹患および死亡を予防するための費用対効果に優れた戦略であることが示唆された」として、研究知見の医療政策的意義を強調している。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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