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「壁コンセントで利用可能」な低電力MRIをAIが実現

Science誌にこのほど掲載された研究論文によると、香港大学などの研究チームは、深層学習を利用して「低電力で安全、かつ低コストな磁気共鳴画像法(MRI)を実現する新しい手法」を開発した。この技術は、超低磁場(ULF)MRIスキャナーを使用し、従来の高磁場MRIと同等の精度を保ちながら、費用とエネルギー消費を大幅に削減することができる。

MRIは、放射線を使用せずに詳細な体内画像を提供するため、医療診断において非常に価値のある技術である。しかし、従来のMRIスキャナーは高価であり、特に低・中所得国ではアクセスが限られていることが課題でもあった。標準的な超伝導MRIスキャナーは、1台あたり数百万ドルの費用がかかり、設置や維持にも専門的なインフラが必要となり、検査普及の明確な阻害因子となってきた。

研究チームは、標準的な家庭用電源で動作し、RF(無線周波数)シールドや磁気シールドが不要なULF MRIスキャナーを開発した。このスキャナーは、0.05テスラのコンパクトな磁石を使用し、深層学習を用いて電磁干渉信号を除去することで、従来の高磁場MRIと同等の画像品質を実現している。研究では、健常なボランティアを対象にこのデバイスを使用したテストが行われ、高磁場MRIと同等の詳細な画像が得られたとしている。

新技術に基づく低磁場MRIは、MRIのコストと複雑さを大幅に削減し、低・中所得国や小規模な医療施設でも日常的な専門検査を実現する可能性があり、大きな注目を集めている。

参照論文:

Whole-body magnetic resonance imaging at 0.05 Tesla

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