医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例加齢黄斑変性における予後予測AIの検証

加齢黄斑変性における予後予測AIの検証

新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)は、高齢者における主要な失明原因の一つであり、抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法が標準治療である。しかし、治療効果には個人差が大きく、視力や網膜構造の改善を事前に予測する手法は確立されていない。中国の研究チームは、抗VEGF療法後の視覚的および解剖学的予後を高精度に予測することを目的に、深層学習モデルの開発と検証を行い、その成果をThe Lancet Digital Healthに発表した。

本研究では、中国の18施設から収集した1,226例の患者データと外部検証用172例の患者データを用い、合計3万枚を超える光干渉断層計(OCT)画像を解析した。Transformerベースのモデルにより網膜構造を解析し、視機能および網膜形態の治療反応を予測した。その結果、内部検証におけるAUCは0.948、外部検証では0.941と高い識別性能を示した。さらに、Shapley Additive Explanations解析により、脈絡膜新生血管、瘢痕、網膜内液体が不良予後と関連し、網膜下液体は良好な転帰と関連することが明らかになった。

本モデルは治療反応性の事前評価を可能にし、個別化医療への貢献が期待される。一方で、研究者らは「本モデルが異なる抗VEGF薬剤や治療レジメンにおいても同様に有効かどうかの検証が、今後の重要な課題である」と指摘しており、臨床実装に向けたさらなる検証が求められている。

参照論文:

Development and validation of a deep learning model to predict visual and anatomical prognosis of anti-VEGF therapy for neovascular age-related macular degeneration (KongMing Study): a prospective, nationwide, multicentre study

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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