自閉スペクトラム症をアイトラッキングで検出

自閉スペクトラム症(ASD)は、生後18ヶ月前後で初期症状を疑われるものの、米国における診断年齢の中央値は依然4-5歳前後と、早期介入の可能性を遅らせている。米EarliTec Diagnostics社は世界中の子どもたちに利用できる、ASD早期発見のためのデジタルツール開発を進めている。

EarliTec Diagnosticsは10日、ASD診断を客観的な測定指標で支援する同社のツール「EarliPoint Evaluation」が、米食品医薬品局(FDA)の510(k)認可を取得したことを明らかにした。その基幹技術では、子どもの視線をアイトラッキング技術で捉え解析することで、社会的障害や言語/非言語能力と関連する独自のASD重症度指標を提供している。解析手法としては、子ども同士の社会的なやり取りを表現した短いビデオを児に見せ、アイトラッキングから子どもの集中力と反応性をモニタリングし、年齢別の基準と比較することで、社会性獲得の重要なポイントを逃していないかを判定するというもの。

EarliTecのCTOであるSreeni Narayanan氏は「我々が取り組むのは、ASDを有する子どもたちとその家族の生活を改善する革新的な技術開発で、今回のFDA認可は重要なマイルストーンとなる。EarliPoint Evaluationは、子どもの一瞬一瞬の行動を客観的に数値化するもので、全ての家庭が普遍的に利用できる測定方法を提供している」と語った。

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