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LLM構築と利用は医療者が推進すべきか?

医療における大規模言語モデル(LLM)利用への関心が高まっており、その恩恵が期待される。これに関連して、今月JAMA誌に掲載された短報によると、米スタンフォード大学の研究者らは「医療における大規模言語モデルの構築と利用」について、「そのプロセスは医療業界が積極的に形成していく必要がある」と主張している。

報告によると、一部の医療関係者は、テクノロジー企業が開発した既存のLLMを活用し、これらのツールが医療をどのように再構築できるかを検討しようとしているという。一方、著者らは「LLMやチャットボットの意図する医療用途が、その開発やトレーニングをどのように形成し得るかを検討する」という逆のアプローチを提案した。LLMやこれを搭載したアプリケーションが、医療をどのように再構築するのか、単に疑問に思うだけでは、これらのツールが医療でどのように使用されるのかを形成する主体性が失われてしまうことを指摘する。

具体策として、医療システムが自らのデータを用いて、共有のオープンソースモデルをトレーニングすること、LLMが提供し得る望ましい利点を専門家観点から特定すること、実世界での展開における評価に積極的に関与すること、などを挙げている。

参照論文:

Creation and Adoption of Large Language Models in Medicine

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