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シンガポール国立大学病院「CalSense」 – 高カルシウム血症の自動検出AIツール

高カルシウム血症は、副甲状腺の機能異常やがん、薬物摂取、サプリメントの影響で生じることが知られている。発見が遅れると、不整脈や骨の障害、尿路結石、腎不全といった重大合併症に繋がるリスクがある。一方、検査項目の見落としや異常値への適切なアラートの不備が、臨床の現場で度々報告されている。この課題に対して、シンガポール国立大学病院(NUHS)では、高カルシウム血症の患者を即時検出するためのAIツール「CalSense」を開発・運用している。

NUHSによると、CalSenseは医療機関内の血中カルシウム値の結果をリアルタイムで監視し、高カルシウム血症の疑いがある患者にフラグを立て、ライブダッシュボードにて医師へと通知するもの。他の関連する検査項目も同時にチェックすることで、高カルシウム血症の原因をより正確に特定する機能を持つ。2023年の1月から7月までの試験運用で、26,000件の検査結果から1,600件の異常を検出したという。

NUHSの技術責任者であるNgiam Kee Yuan氏は、「CalSenseによって、検査結果が戻ってきた際に、医師が結果を手動で確認するプロセスが自動化される。これによって医療業務の事務負担が軽減され、より迅速な医療ケアを提供できるだろう」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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