高カルシウム血症は、副甲状腺の機能異常やがん、薬物摂取、サプリメントの影響で生じることが知られている。発見が遅れると、不整脈や骨の障害、尿路結石、腎不全といった重大合併症に繋がるリスクがある。一方、検査項目の見落としや異常値への適切なアラートの不備が、臨床の現場で度々報告されている。この課題に対して、シンガポール国立大学病院(NUHS)では、高カルシウム血症の患者を即時検出するためのAIツール「CalSense」を開発・運用している。
NUHSによると、CalSenseは医療機関内の血中カルシウム値の結果をリアルタイムで監視し、高カルシウム血症の疑いがある患者にフラグを立て、ライブダッシュボードにて医師へと通知するもの。他の関連する検査項目も同時にチェックすることで、高カルシウム血症の原因をより正確に特定する機能を持つ。2023年の1月から7月までの試験運用で、26,000件の検査結果から1,600件の異常を検出したという。
NUHSの技術責任者であるNgiam Kee Yuan氏は、「CalSenseによって、検査結果が戻ってきた際に、医師が結果を手動で確認するプロセスが自動化される。これによって医療業務の事務負担が軽減され、より迅速な医療ケアを提供できるだろう」と語っている。
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