The Lancet Digital Healthに掲載された最近のメタアナリシスにおいて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の長期予後を予測するAIモデルの質と性能を評価した。
COPDは喫煙などの長期的な有害物質曝露によって引き起こされる炎症性疾患。世界的に主要な死亡原因の1つとなっており、あらゆる国・地域においてその治療費は増加傾向にある。ディープラーニングや機械学習モデルは、COPD患者の長期的な進行を予測し、医療コスト削減や医療提供の効率化を図るために利用されるようになってきた。オーストラリア・アデレード大学などのチームによる本研究では、「COPDの初回診断から6ヵ月以上経過した患者の転帰」を推定するためのAIモデル研究(前向きコホート研究、横断研究、症例対照研究、ランダム化比較試験)を分析した。
研究チームは3,620件の研究を同定し、そのうち18件が適格基準を満たしていた。各モデルは死亡リスク推定や肺機能低下予測に有望な成果を示していた一方、メタアナリシスでは、AIモデルと従来の回帰モデルのpooled AUCに明らかな有意差はないことが明らかになっている。したがって、今回の研究結果からは、ディープラーニングや機械学習モデルがCOPDの長期予後において、既存のCOPD重症度スコアを上回るというエビデンスは確立されていない。一方、従来モデルの臨床応用には限界があるため、AIによる多変量の同時利用やCTデータの評価については、さらなる臨床的有効性が期待されている。
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