COVID-19パンデミックはCT検査を受ける機会を増加させ、診断レポートには、偶然発見された肺結節が数多く記録された。これら結節の多くは良性だが、一部にはがんのリスクが潜んでいる。ブラジルの研究機関 INSTITUTO D´ORの研究者らは、ポルトガル語のCT検査レポートから、肺がんリスクのある偶発結節の記録を抽出する自然言語処理(NLP)ツールを開発した。
JCO Global Oncologyに発表された本研究では、2020-2021年に実施された21,500件以上の胸部CT報告書を分析し、その中から484件の偶発結節症例を、NLPツールの訓練データとして使用した。本研究では、がんリスクのある肺結節を、「4mm以上で肺炎など別の臨床的背景のないもの」と定義し、報告するようプログラムしている。結果、300件の外部コホートを用いた検証では、レポートからの検出精度は98.6%を達成した。
484件の偶発所見のうち、8名が肺がんと診断されて早期治療を受けることができた。そのうち2件は、NLPツールなしでは見逃されるリスクがあった、と研究チームでは考察している。著者のRosana Rodrigues氏は、「医師が別の疾患の仮説に集中しているため、偶発所見は見落とされやすく、初期の解釈のまま詳細には疑わない可能性がある」と語り、多忙な臨床現場で失われる可能性のあるがん診断をサポートするAIツール開発の意義を説明している。
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