Regard – 日常臨床の見逃しを防ぐAIシステム

米カリフォルニア州パサデナに拠点を置くヘルスケアスタートアップの「Regard」はこのほど、シリーズAラウンドで新たに1530万ドル(20.6億円)の資金を調達したことを明らかにした。RegardのAIソフトウェアは、医療機関のシステムに直接統合することで患者の医療記録を自動分析し、未診断の疾患を抽出・警告することができるもの。心不全や糖尿病、うつ病、不安症状など、日常臨床における一般的な疾患および症状を90%以上の精度で識別することができる。

同社製品は2020年のリリース以降、3万人以上の患者に利用されてきた実績を持つ。システム利用料は月額500~700ドルで、シダーズサイナイ医療センターやトーランス記念医療センターなど、米国における12の名だたる医療機関を顧客に持つ。CEOのBen-Joseph氏は「我々は、医師が見逃してしまうような病状を発見するのに役立つプロダクトを提供しており、市場における価値を維持し続けている」とする。

Ben-Joseph氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)で学士号を、スタンフォード大学でコンピュータサイエンス修士号を取得後、メディカルスクールへの進学を決めた2017年に2名の共同創業者とともに同社を設立した。シーダーズサイナイのTechstarsが支援するアクセラレータープログラムでスタートを切っており、新型コロナウイルスのパンデミックを背景に医療従事者の燃え尽き症候群が深刻化するなか、医療者の負担軽減を支援する同システムは大きな期待を集めるに至っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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