医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向画像検査報告書は誰のもの? - 患者向け記述に変換するAI「Ezra Reporter」

画像検査報告書は誰のもの? – 患者向け記述に変換するAI「Ezra Reporter」

画像検査の読影レポートは医療者向けの専門用語と言い回しで記載され、「患者が自分自身の検査結果を理解し解釈できるようには作られていない」のが一般的である。米ニューヨーク拠点のヘルスケアスタートアップ Ezra社は、検査報告書の複雑な所見記述を、患者向けに簡略化し普遍的な用語に翻訳するAIシステム「Ezra Reporter」を発表している。

Ezra社のリリースによると、Ezra Reporterは機械学習ベースのソフトウェアで、検査報告書内の難解な記述所見を患者に分かりやすい非専門用語に変換し、その結果を専門家レビューを経た上で提供するというもの。Ezraは「全身MRIスキャンによる検診サービス」を主幹事業として業界を牽引しており、受診した会員がレポートをよりよく理解し自身の健康管理に積極的に役立てることを、新サービスの狙いとしている。Ezra Reporterはワークフローの短縮にも貢献し、スキャンから報告までの待ち時間を従来の7営業日から3営業日に短縮することも可能にした。

Ezra社は検診のあらゆる面にAIを導入し、すべての受診者がアクセスできる民主的なサービスの提供を目指している。AIの活用例は今回のレポートに限らず、煩雑な再診予約や長い待ち時間などに対し、受診者のストレスを軽減するためにも用いられている。「医療データは誰のものか」、そして医療者と一般患者との「情報の非対称性」という論点にも、Ezra社はAI技術による独自の取り組みを続けていく。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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