中国・天津医科大学などの研究チームは、転移細胞の画像を調べることで「原発腫瘍の場所」を特定するAIツールを開発した。研究成果は16日、Nature Medicineから公開されている。
研究者らは、腫瘍の起源が判明している21,000人の腹水や胸水から同定された細胞の画像約30,000枚を用いて、AIモデルを訓練した。その後、27,000枚の画像でモデルを検証したところ、腫瘍の発生源を正確に予測できる確率は83%であった。また、腫瘍の発生源がモデル予測の上位3つに含まれる確率は99%であった。研究者たちはまた、391人の研究参加者のうち、がん治療を受けてから4年後をレトロスペクティブに評価した。その結果、モデルが予測した種類のがん治療(原発巣に応じた治療)を受けた者は、そうでなかった者よりも生存している可能性が高く、生存期間の長いことを明らかにした。これは、臨床の場でAIモデルを使用するための、高い説得力を持つエビデンスとなる。
一部のステルスがんは、発生源から離れた臓器に転移するまで発見されない。研究者らは、体内を循環する転移がん細胞の起源を特定することで、病理医を凌駕し得るAIツールを開発したとしている。この概念実証モデルは、末期がんの診断と治療、生命予後を大きく改善する可能性がある。
参照論文:
Prediction of tumor origin in cancers of unknown primary origin with cytology-based deep learning
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