Nature Medicineに掲載された最近の研究により、AIを活用した心電図が、死亡リスクのある入院患者を特定できる可能性が明らかにされた。研究成果は、台湾のチームが実施したランダム化比較試験に基づくもの。
重症患者に対する集中治療は死亡率を低下させるが、この遅れは有害な転帰につながる。医療機関では、臨床的な増悪を管理するため、迅速対応システム(RRS)を導入している。RRSの作動には、トラック・アンド・トリガー・システム(TTS)が不可欠となる。
TTSを病院内に統合することで、リアルタイムの警告が可能となり、クリティカルケアの質が向上する可能性がある。研究者らは以前、死亡リスクを層別化し、全死因死亡率を予測するためのAI対応心電図(AI-ECG)を開発した。AI-ECGは有効なTTSとなりうるが、現在までに関連するランダム化比較試験は実施されてこなかった。
本研究では、AI-ECGをTTSに適用し、状態が可逆的である増悪患者を特定した。AI-ECGは死亡リスクの予測において、患者のベースライン特性よりも有意に優れており、高リスク群では、年齢と性別で調整した全死亡のハザード比は7.53であった。特に、不整脈による死亡の予測能が最も高かった。AI-ECGによる積極的な警告は介入群の死亡リスクを23%から16%に減少させたとしている。
以上の結果から、AI-ECGの使用は死亡率を有意に減少させることが示された。AI-ECGを用いたこのRRSの成功は、医師の注意力の高さに起因していると考えられる。また、研究チームは、将来的に全ての患者にリアルタイムで導入された場合、各患者のアラート件数は月平均10件以下になるとしている。
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