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機械学習と深層学習を用いた神経膠芽腫患者の生存予測:システマティックレビュー

神経膠芽腫(GBM:Glioblastoma)の生存期間の中央値はわずか12-15か月であり、最も悪性度の高い脳腫瘍(グレード Ⅳ)とされている。2024年12月27日、BMC Cancerに「機械学習と深層学習を使用した神経膠芽腫患者の生存予測」に関するレビュー論文が掲載された。筆者らは、臨床像、分子マーカー、画像的特徴など、さまざまなデータからGBMの生存を予測するための方法について分析・要約した。

研究チームは、2015年から2024年において、「神経膠芽腫」「深層学習」「機械学習」「生存予測」のキーワードから、PubMed、Nature、ScienceDirect、Springer、Wiley、MDPI、Google Scholarのデータベースを検索し、機械学習または深層学習によるGBM患者の生存予測に関連する研究を検索し、基準を満たす107の論文についてレビューを行った。結果、GBMの生存予測に最も頻繁に用いられた機械学習方法はランダムフォレストであり、最も利用された入力データは、ラジオミクスと臨床データの組み合わせであった。また、プログラミング言語は、Pythonが最も頻繁に使用されていた。

このシステマティックレビューは、AIによるGBM生存予測により、個別化医療を実現できる可能性を示唆するものの、現時点ではこれらのシステムは臨床応用されていない。筆者らは、多施設前向き研究によるモデルの外的妥当性検証の必要性を強調している。

参照論文:

Survival prediction of glioblastoma patients using machine learning and deep learning: a systematic review

関連論文:

  1. 機械学習による脳腫瘍の悪精度判定
  2. MRI画像から脳腫瘍の硬さを自動検出
  3. AIによる肝細胞がんの予後予測 – システマティックレビュー
Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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