医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例糖尿病網膜症の検出AI―臨床現場における成果―

糖尿病網膜症の検出AI―臨床現場における成果―

先日の記事にもあるように、糖尿病患者に対する網膜症検出AIの臨床応用は数多く進む一方、その成果に関する報告は多くない。インドのチームによる本研究では、糖尿病網膜症検出AIが高い精度を示し、臨床現場において有効性を示すことが報告された。同研究JAMA Network Openに掲載されている。

背景として、本研究チームはGoogle LLCおよびVerify Life Sciences LLCと連携し、糖尿病網膜症(DR)のスクリーニング用深層学習システム「ARDA」を2018年より導入しており、すでに60万人以上のスクリーニング検査を行っている。本研究では、スクリーニング患者の約1%(4,537患者)を対象とし、眼科医3名によるDRおよび糖尿病黄斑浮腫(DME)のグレードについての判定とARDAの出力とを比較した。重症非増殖性糖尿病網膜症および増殖性糖尿病網膜症に対するARDAの精度は、感度が97.0%、特異度が96.4%と高い性能を示した。また、失明の恐れがある糖尿病網膜症に対する精度も、感度が95.9%、特異度が94.9%と優れたもので、臨床的に重要な見逃し率は3.7%であった。

著者らは「本研究は、眼科領域におけるAIアルゴリズムの大規模な臨床性能報告として、初めてのものである。AI機器の導入過程では様々なコストがかかるが、各AI医療機器会社がそれぞれの臨床応用データを公開することで、より一層の患者安全に繋がるだろう」と述べている。

参照論文:
Performance of a Deep Learning Diabetic Retinopathy Algorithm in India

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R.A.
R.A.
東京大学医学部医学科。医学を学ぶ傍ら、機械学習や深層学習に関心を持ち、シンクタンク・AI企業でのインターンにて、データ分析や社会実装の現場を経験。テクノロジーを活かした知の発掘,医療の質向上の実現を目指している。
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