医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例癌の画像診断における進歩:アンブレラレビュー

癌の画像診断における進歩:アンブレラレビュー

過去10年間で、AIは画像診断において大きな進歩を遂げ、複雑なデータをより適切に解釈できるようになったが、これは癌の画像診断においても例外ではない。中国の研究チームは、癌の画像診断におけるAIモデルのパフォーマンスについてアンブレラレビューを実施し、その結果をJournal of Medical Internet Research発表した。

研究チームは、2024年までに発表されたAIによる非侵襲的画像診断の性能を検証したシステマティックレビューおよびメタアナリシスについて、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane、IEEEのデータベースを検索し、158件の論文を分析対象とした。80%以上の研究が2021年以降に公表されていた。癌の種類の内訳は、消化器系43件、女性器系23件、頭頸部系18件、呼吸器系16件、泌尿器系18件、皮膚系18件、中枢神経系15件であった。最も使用されていたAIモデルは、畳み込みニューラルネットワークとサポートベクターマシンであり、その他にもDenseNet、EfficientNet、RetinaNet、ImageNet、Inception-v3など多岐にわたった。内部検証と外部検証の両方が行われていたレビューは49件であった。

AIは、画像診断をはじめ、癌のクラスや病期分類の評価、さらには予後予測など、癌診療において大きな進歩をもたらした。その一方で、データの品質、システムの透明性、倫理的および法的問題など、いくつかの課題も残されている。研究者たちは、「AIを実際の医療サービスの向上に結びつけるためには、研究者、臨床医、政策立案者の連携が不可欠である」と述べている。

参照論文:
Artificial Intelligence Performance in Image-Based Cancer Identification: Umbrella Review of Systematic Reviews

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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