近年、リンパ節外浸潤(Extranodal extension:ENE)は、中咽頭がんにおける最も重要な予後不良因子の一つであることが示唆されている。カナダの研究チームは、治療前の中咽頭がんのCT画像を用いて、AIによるENE分類および予後予測の可能性について評価を行った。
JAMA Otolaryngology – Head & Neck Surgeryに発表された論文によると、本解析はカナダ・モントリオールの腫瘍センターのデータベースを用いて実施された。リンパ節の肉眼的腫瘍体積のセグメンテーション画像は、頭頸部放射線腫瘍専門医によって抽出され、nnU-Netモデルが開発された。また、画像診断に基づくENEの分類には、ラジオミクスと深層学習の双方のアプローチが採用された。解析は18歳以上で、2009年から2020年までに放射線療法または化学放射線療法を受けたヒトパピローマウイルス陽性の中咽頭がん患者397名を対象に実施され、AIによるENE分類はAUC0.81を達成した。ENE陽性患者はENE陰性患者と比較して3年全生存率が有意に低く(83.8% vs 96.8%)、無再発生存率(80.7% vs 93.7%)、遠隔制御率(84.3% vs 97.1%)も同様に低かった。
今回の単一コホート研究において、AIを用いて中咽頭がんの治療開始前のCT画像からENE分類を予測できることが示され、さらにENE陽性と予測された患者は、有意に予後不良であることが示された。研究者らは「本研究の一般化可能性には制限があるため、今後は多施設のデータセットを用いた外部検証が必要である」と述べている。
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