睡眠障害は世界中で数百万人に影響を及ぼし、さまざまな疾患の発症に寄与している。しかし、睡眠評価のゴールドスタンダードであるポリソムノグラフィー(Polysomnography, PSG)は解析が複雑であり、疾患リスク予測への活用は限定的であった。スタンフォード大学の研究チームは、睡眠データに含まれる情報を解析し、疾患リスクを予測するためのAI基盤モデルを開発し、その成果をNature Medicineに発表した。
本研究では、脳波、心電図、筋電図などを含む約65,000人、約58万5千時間のPSGデータを用い、対照学習に基づく自己教師あり学習手法を採用した多モーダル睡眠基盤モデル「SleepFM」を構築した。SleepFMから得られた潜在表現を電子カルテの臨床情報と統合して解析した結果、SleepFMは130種類もの疾患発症リスクを高精度に予測可能であることが示された。特筆すべきは、認知症(C統計量 0.85)や心不全(同 0.80)だけでなく、パーキンソン病(同 0.93)や前立腺がん(同 0.90)といった、一見睡眠とは無関係に見える疾患のリスクまで高い精度で捉えた点である。この手法では、センサーの外れなどで一部のデータが欠けていても、他の信号から補完して解析できる堅牢性を実現している。
SleepFMは、既存のリスク評価ツールを補完し、疾患の早期兆候の検出にも有用であることが示唆されている。将来的には、スマートウォッチなどのウェアラブル睡眠計測機器との連携により、非侵襲的かつリアルタイムなモニタリングへの応用も期待される。
参照文献:
A multimodal sleep foundation model for disease prediction
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