ポルトガル・リスボンに所在するNova Medical Schoolの研究チームは、2型糖尿病(T2D)の個別化治療・予防に向けたAI分析に関するレビュー論文を公開し、既存知見をまとめた「統合モデル」による正確な患者分類の重要性を指摘している。
European Journal of Clinical Investigationから17日公開されたチームのレビュー論文によると、T2Dの複雑さを解明する有望なツールとしてクラスター分析を挙げている。類似性尺度を用いたクラスター分析により、従来広く活用されてきた多くのパラメータに加えて、病因や病態生理学的メカニズム、他の代謝異常系の併発疾患、生化学的因子に基づくパラメータを統合することの重要性を指摘する。結果として、これらの要因全てが糖尿病とその合併症に大きな影響を与えており、T2Dの表原型や治療過程の複雑さを構成しているという。
チームが提唱する「統合モデル」は、病因論的因子とメカニズム、生化学的因子の3つの要素からなるが、それぞれが複数の要因を包含しており、別々の2次元平面に投影することで、個人の病態を全体的かつ正確に解釈することができるというもの。ゲノムや環境因子、曝露時間までを考慮した個人の完全なプロファイリングにより、精密医療や合併症予防を推進できる可能性があり、今後のT2D研究推進に向けた1つの重要な示唆となっている。
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