米バージニア州リッチモンドに所在するバージニア・コモンウェルス大学の研究チームは、医療費請求データに健康の社会的決定要因(SDOH)などを含めたAIモデルにより、「将来的に高額な医療費を要する個人」をタイムリーに特定可能であることを明らかにした。
American Journal of Managed Careから公開されたチームの研究論文によると、メディケイドのアカウンタブルケア組織のデータを使用し、2018年5月から2019年4月の間に継続的に登録された61,850人の会員集団を対象としたモデル構築と検証を行っている。チームはSDOHデータや医療費請求データ、人口統計データなどから予測モデルを構築し、これを請求情報のみに依存する既存モデル(Chronic Illness and Disability Payment System[CDPS])と比較した。両モデルで高リスク上位5%の会員を比較したところ、AIモデルは一貫して「支出額が最も多くなる会員」をより多く特定するとともに、上位集団全体としてもCDPSモデルによって推定された会員群よりも、支出総額として大きいことを確認している。
チームは「従来型のデータソースに基づく予測モデルよりも、SDOHなど、健康を規定する上流の因子をモデルに組み込むことで、その予測精度をさらに向上させられる可能性」を指摘している。
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