脳脊髄液の循環は、老廃物の排泄を担うクリアランスシステムとして機能するが、アルツハイマー病などの脳神経学的疾患との関連性が近年示唆されている。米ロチェスター大学の研究チームは、脳脊髄液の流れを精密に計測するためのAI技術を開発した。この新技術は、疾患治療への応用可能性を開くものとして期待されている。
米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された同研究では、動物モデルを利用して脳血管周囲腔に人工的な微粒子を注入し、その粒子の位置と速度を時間経過とともに追跡した。そこから得られた二次元映像データを、物理学的情報に基づくニューラルネットワークと組み合わせることにより、脳脊髄液の流体システムを高解像度の三次元映像データとして表現することを可能にしている。
研究を主導したロチェスター大学のDouglas Kelley准教授は、「この研究は脳脊髄液の圧力・応力・三次元流量を高精度で明らかにするものだ。特に、脳周囲の液体の流れを生み出すポンプ作用については、まだ明らかにされていない未開拓の分野である」と述べた。
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