ポーランドの研究チームが、腫瘍学におけるAIの果たす役割につき包括的に調査し、2024年12月30日、Applied Sciencesにレビュー論文を発表した。
腫瘍学におけるAIの最大の応用分野は診断であり(80%以上)、特に放射線学と病理学において顕著である。主に、腫瘍の遺伝子的特徴と画像の評価に焦点がおかれ、実臨床では、乳癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、大腸癌、前立腺癌において、広くAIの早期診断が活用されている。また、予後、再発、治療の有効性、有害事象などの予測や、抗がん剤、放射線療法など適切な治療方法の選択にも、AIが利益をもたらす可能性がある。さらに、新薬開発においては、腫瘍の成長速度、分子プロファイリング、薬理学的特性などのパラメーターが考慮された多様なモデルが開発されている。さらに、臨床試験におけるAIの役割は、臨床試験の設計、患者の募集や登録、患者のモニタリング、服薬の遵守などが含まれている。
筆者らは、データ収集が困難な希少がんや小児がんでのAIの活用の遅れや、病理学や放射線学における診断以外へのAIの活用の促進、AI利用における倫理的・法的側面の問題を、今後の課題として指摘している。本論文は、腫瘍学におけるAI活用や課題について包括的に知識を得られるレビュー論文となっている。全文が無料で閲覧可能であるため、興味のある読者はぜひ一度目を通すことを推奨したい。
参照論文:Artificial Intelligence in Oncology
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